メッセージ

フィンランドスタディツアー:かもめ大学

すべては、ショックからはじまった

 教えることが好きで、子供たちが好きで、塾の先生になりました。毎日、子供たちと関わる日々の中で、ある日、フィンランドの記事を見かけました。「学力世界一」「学校のほとんどが公立で、授業料は無料」。さらに、「塾なし」「偏差値なし」…。「塾がない」「自分の職業は、フィンランドにはないのか」と、ショックを受けたことを、今でも覚えています。また「いったい、自分は何を教えているのか?」「いったい、何のために教えているのか?」自問自答する日々がはじまりました。

ゴールは同じなのに、プロセスがまるで違う

 夏休みのある日、偶然手に取った、映画のDVDを観ました。その映画とは『かもめ食堂』。ゆったりとしたあの雰囲気、登場人物のセリフ、それらにまた「フィンランドは、自分と正反対だ」と、再びショックを受けました。教育の先に見ているものや、願っているしあわせのかたちは、同じようなもののはずなのに、自分がたどっているプロセスと、フィンランドがたどっているプロセスは、まるで違うということに気がつきました。

「なんで?」とたくさん問う、フィンランド

 それ以来、フィンランドについて、いろいろ調べてみました。ぼくはまた、ショックを受けることに出逢いました。それは、フィンランドでは「なんで?」からはじまる質問をたくさんしている、ということ。それまでのぼくは「なんで遅れてきたの?」「なんで宿題やらないの?」と、子供たちを「なんで?」という質問で、問い詰めていたことがありました。それなのに、フィンランドは「なんで?」という質問を効果的にたくさんしている…。それこそ「なんでそんなことが可能なのか?」と、ショックだったのです。

フィンランドの教育を、一目見てみたい

「なんで遅れてきたの?」「なんで宿題やらないの?」と、問い詰めてしまうような問いかけているとき、それは大抵、ぼくにとって不都合なことが起きたとき。つまり、イライラしていたり、余裕がなかったりするときなのです。ぼくには、ある仮定がありました。フィンランドが「なんで?」という質問をたくさんすることができる、ということは、その質問の本質を見抜いているか、その質問をする人に余裕があるからだ、ということです。ぼくは、どんな人が子供たちと関わっているのか、それを目の当たりにして感じてみたくなりました。

フィンランドが良くて、日本が良くない、というわけではない。

 実際にフィンランドに行ってみて、過去2度のスタディツアーを開催してみて思うことは、フィンランドが良くて、日本が良くない、というわけではない、ということ。フィンランドって、何となく「いい国」のイメージがありませんか?フィンランドについて、お話をする機会が増えてきてから、フィンランドに対する「うらやましさ」にも似たそのイメージから、自分自身や日本を卑下してしまう人も、多く出逢いました。ですが、ぼくは「そんなことはない」と伝えたい。フィンランドを見ると、日本の良さも、浮き立って見えるのです。

「感じる」「ふりかえる」時間が少ない、日本の現代社会

 それでも「フィンランドはいいな」と思えるところを挙げるとすれば、フィンランドは、日常に「感じる」時間、「ふりかえる」時間が多くあることです。日本の現代社会は、どこか「頭で考える」時間が多く、ひとつのことが終わったらすぐに次へ向かう「前を見続ける」時間が多いように思えます。「忙しい」という字は「心を亡くす」と書くように、忙しく過ごす毎日に、積極的に立ち止まったり、何もしない、という選択肢を、どこかに置き忘れていることがあるように思えるのです。

旅は、非日常の時間。だからこそ、気づきがある

 旅は、非日常の時間です。非日常を体験してみるということは、いつもと違う環境に身を置いてみるということ。いつもと違う環境だからこそ、日常では気づけないことに、気づけることがあります。その場所に身を置いてみるからこそ「感じる」ことができるし、体験こそが、大きな学びだと思っています。同じものを見て、気づいたことや感じたことを言葉にして伝えあってみる。そんな時間が、学びをさらに大きくしてくれます。そんな学びの機会を提供したくて、スタディツアーを開催しています。

あなたといっしょに、学べたら、うれしいなと思っています。
よかったら、いっしょに行きませんか?出逢いと学びの旅に。
 

かもめ大学 高坂翔輔
 
 
ツアーについて